精霊の守り人
2007 TV(アニメ) 全26話 【SF/ファンタジー/小説原作】
運命には勝てない。
でも、運命には負けない。
上橋菜穂子の児童文学を『攻殻機動隊S.A.C.』の神山健治監督がアニメ化。アジア風の異世界で、女用心棒バルサがチャグム皇子を守って戦う。みどころは、骨太な人間ドラマ。登場人物の中に知能の低い人間も役割だけの薄っぺらな悪人も皆無という点に、まず驚く。逃げる側にも追っ手にも人間性に根ざした深い理由があり、毅然としたキャラたちの知性あふれる行動が、やむにやまれぬ衝突を産み、ドラマをつむぐ。このスタイルは前代未聞の境地で、人間性がここまで描けるという高みを示している。その驚きがバルサとチャグムの主人公像への好感に集約していく構造も素晴らしく、毎回ひたすら感涙。珠玉とはこういう作品のためにある言葉だ【アニメ評論家 氷川竜介】