明立大学の昼休み、中庭のベンチではいつものように薫たちが葵お手製のお弁当に舌鼓を打っていた。
「今日の弁当も美味しそう!!」
「そうそう。ウチの大家さんは料理も家事も完璧ったい。」
そんななか、一人面白くない繭。
「お料理なんて、見た目がよくても美味しいとは…。」
ティナの弁当から勝手におかずを食べてみた繭は、あまりの美味しさに固まってしまうのだった。「自分も手作りのお弁当を、薫様に食べてもらいたい、喜んでもらいたい」と思い、繭はさっそく料理本を見ながら挑戦するが、なにせ初めてのこと。おにぎりひとつ作ることもできない。さすがに落ち込む繭だったが、そのとき脳裏に昼間の薫たちのお弁当が浮かぶ。翌日、薫たちが大学から帰ると、なぜかそこには繭が! 葵に家事を習おうと、桜庭館にやってきたのだった。