新宿署の刑事・原田は、たったひとりの妹であり、洋裁学校に通う典子と都会の片隅のアパートで暮らしていた。母は失踪してしまい、おまけに父が事故死したふたりは、12年前に孤児同然で青森から上京したのだった。原田は父親代わりのように妹を慈しんできたが、そんなある日、典子が新宿でガラの悪いチンピラと連れ立っていたという噂を耳にする。
『砂の器』など社会派サスペンスの名手として知られる巨匠・野村芳太郎監督が、高橋英樹、秋吉久美子を競演に迎えて贈るサスペンス・ドラマ。孤児同然に青森から上京し、身を寄せ合ってきた兄妹が、荒涼とした都会の闇にのまれていく。実直な刑事役の兄にふんした高橋、大人たちに翻弄され、やさぐれていく妹にふんした秋吉の名演が光る。
1975年/日本/87分
監督:野村芳太郎 脚本:新藤兼人
キャスト:高橋英樹、秋吉久美子、池波志乃、伊佐山ひろ子、松橋登