類まれなる絵の才能と情熱を持ちながらも、幾度も絵師に破門にさせられている鉄蔵。逼迫した生活を送る彼を見るに見かねた友人の佐七は、鉄蔵の娘・お栄ともども家に居候させてやる。佐七もまた読本作家を志していたが、女房のお百は鼻白んだ表情で佐七をみるばかり。そんなある夜、鉄蔵は妖艶な魅力を放つ女・お直と出会い、彼女に惹かれていく。
『一枚のハガキ』の新藤兼人監督が、劇作家・矢代静一の戯曲を、緒形拳、田中裕子、西田敏行ら実力派俳優競演で映画化。稀代の天才浮世絵師・葛飾北斎と戯作者・滝沢馬琴の交遊を軸に、春画に情熱を燃やした北斎と、その娘・お栄の波乱の生涯を描く。北斎役の緒形が35歳から90歳まで、お栄にふんした田中が15歳から70歳までを熱演する。
1981年/日本/119分
監督・脚本:新藤兼人 原作:矢代静一
キャスト:緒形拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子、乙羽信子