幼くして家族を失い、孤独な身の上である一高生の水原は、修善寺にいる先輩の小説家・杉村を訪ねて伊豆へと向かう。天城峠で旅芸人・栄吉の一座と知り合った水原は、一座に属する踊り子・薫のあどけない姿に惹かれるようになる。彼らと旅を共にすることになった水原だが、薫たちが夜の宴に呼ばれていくことに、不安を感じずにはいられなかった。
ノーベル賞作家・川端康成の代表作『伊豆の踊子』を、大スター・美空ひばりをヒロインに迎えて贈る青春ドラマ。監督は当時、新鋭だった巨匠・野村芳太郎。伊豆を舞台に、純朴な学生と旅芸人一座の少女が織り成す初恋を描く一方で、差別が横行する当時の世相も鋭く切り取る。美空ひばりの艶っぽい歌声、望遠レンズが捉えた美しき風情などに注目。
1954年/日本/98分
監督:野村芳太郎
キャスト:美空ひばり、石浜朗、片山明彦、由美あづさ、雪代敬子