明治中期の北関東。兵隊帰りの豊次は、人力車夫の儀三郎の妻・せきに想いを募らせていく。亭主の留守中に彼女のもとへと足繁く通うようになった豊次は、ある日、授乳中のせきに欲情し、強引に肉体関係を結ぶ。初めは豊次を拒んでいたせきも、しだいに女としての悦びに覚醒していく。情交を重ねていくふたりは、やがて儀三郎の殺害をくわだてるが…。
痛烈な批判精神で現代社会の欺瞞を糾弾し続ける映画作家・大島渚。松竹ヌーヴェル・バーグをけん引し、ATGと共にラジカルな作品を生んだ稀代の革命児が、カンヌ国際映画祭で監督賞を獲得した官能時代劇ホラー。姦通の果てに殺人を犯した愛人と人妻、そして殺された夫の亡霊との三角関係を古典的な幽玄美で描く。吉行和子、藤竜也、田村高廣競演。
1978年/日本/106分
監督:大島渚 原作:中村糸子
キャスト:吉行和子、藤竜也、田村高廣、長谷川真砂美、小山明子