昭和11年、ある猟奇事件が世間の興味を集めた。愛人を殺害した上、男根を切り取って懐に入れ、逃亡していた阿部定という女が捕まったのだ。定は中野の料亭に住み込み女中として雇われ、そこで主人の吉蔵と出会い激しく恋に落ちたのだった。吉蔵には妻がいたが、ふたりは周囲の目を盗んでは応接間や座敷などで、激しく情事を重ねていくのだが…。
痛烈な批判精神で現代社会の欺瞞を糾弾し続ける映画作家・大島渚。松竹ヌーヴェル・バーグをけん引し、ATGと共にラジカルな作品を生んだ稀代の革命児が、その名を世界的に知らしめることとなった傑作官能サスペンス。昭和犯罪史に残る阿部定事件をモチーフに、究極の愛とエロスを貫いた男女の姿をセンセーショナルに描く。松田英子、藤竜也競演。
1976年/日本/109分 R-18
監督・脚本:大島渚
キャスト:藤竜也、松田英子、中島葵、藤ひろ子、殿山泰司