傷痍軍人である無職の父と、先妻の子である少年。そして父の同棲相手の女と、その幼子のチビ。そんな複雑な家族関係にある一家は、走っている車にわざと体当たりし、示談金を得る“当たり屋”稼業で生計を立てていた。一家は北九州から北海道へと流浪の旅を続けていくが、車に轢かれる恐怖心、父への反抗心などから少年は逃亡を図ろうとする。
痛烈な批判精神で現代社会の欺瞞を糾弾し続ける映画作家・大島渚。松竹ヌーヴェル・バーグをけん引し、ATGと共にラジカルな作品を生んだ稀代の革命児が、実際に起きた事件をモチーフに描いたロード・ムービー。当たり屋稼業をしながら、家族と共にあてのない放浪を続ける少年の心象風景と、希薄な家族関係を淡々と描く。渡辺文雄、小山明子競演。
1969年/日本/97分
監督:大島渚 脚本:田村孟
キャスト:渡辺文雄、小山明子、阿部哲夫、木下剛志