第二次世界大戦末期の昭和20年の初夏。東京郊外のある山村に、アメリカ軍の飛行機が墜落した。そして唯一の生存者である黒人兵が、村人たちの猟の罠にかかり村へと連れてこられる。村人たちは彼を捕虜として地主の蔵に閉じ込め、輪番制で“飼う”ことにする。しかし食糧が限られている中での飼育は、村人たち自身をも過酷な状況へ追いつめていく。
痛烈な批判精神で現代社会の欺瞞を糾弾し続ける映画作家・大島渚。ラジカルな作品を生み続ける稀代の革命児が、松竹大社後に初めてATGとタッグを組んだ衝撃の問題作。第二次世界大戦末期の閉鎖的な日本の山村を舞台に、捕虜として囚われた黒人米兵の視点から、彼を飼育する村人たちの狂気と混沌をあぶりだす。原作は大江健三郎の芥川賞受賞作。
1961年/日本/105分
監督:大島渚 原作:大江健三郎
キャスト:三國連太郎、沢村貞子、中村雅子、大島瑛子、山茶花究