安田松太郎は名古屋のとある高校の校長を勤め上げ、定年退職した。しかし教育者としての厳格さが裏目に出たのか、家庭はうまくいかず、アルコール依存症の妻は死に、ひとり娘は父を憎んでいた。妻の葬式を済ませた後、松太郎は家を引き払い、何かを清算するかのように質素なアパートに移り住む。その部屋の壁ひとつ隔てたところには、母親に虐待される少女・幸が住んでいた。
個性派俳優であり、映画監督としても才能を発揮する奥田瑛二が、名優・緒形拳を主演に迎えて放つ傑作ドラマ。亡き妻へのしょく罪を背負った初老の男と、母親から虐待を受ける5歳の少女が、それぞれのユートピアを求めて旅に出る。老成した演技を魅せる緒形、天才子役の杉浦花菜をはじめ、虐待する母にふんした高岡早紀、孤独な青年役の松田翔太らの熱演が心を震わせる。
2006年/日本/136分
監督・脚本:奥田瑛二
キャスト:緒形拳、杉浦花菜、高岡早紀、松田翔太、木内みどり、津川雅彦、奥田瑛二