古びた研究室の片隅で奇妙な人形が目を覚ました。麻布を縫い合わせて作られた身体、腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”が描かれている。自分が誰で、ここがどこなのか彼にはわからない。恐る恐る外を見ると見渡す限りの廃墟が広がっていた。ぼう然とする彼の前に現れたのは背中に“2”と描かれたボロ人形だった。2は9の発声装置を直し、自分たちは仲間だと語りかける。
2005年のオスカー短編アニメ部門にノミネートされた、新人シェーン・アッカーの監督作『9』。その11分の短編に奇才ティム・バートンが惚れこみ、全面的バックアップによって長編化が実現した傑作ファンタジー・アニメ。人類滅亡後の世界を舞台に、巨大な機械獣に立ち向かう9体の人形の戦いを描く。奇妙かつダーク、それでいて愛らしいキャラ、レトロなのに斬新な世界観は必見。
2009年/アメリカ/80分/日本語字幕版
監督・原案:シェーン・アッカー 脚本:パメラ・ぺトラー
声のキャスト:イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、クリストファー・プラマー