明治十五年修道館の茶道家・矢野正五郎に心酔した姿三四郎は門下生となり頭角を現すが、慢心による思い上がりから大乱闘を起こす。この事件で師から罰を受けた三四郎は謙虚な男に生まれ変わり、武道とは暴力ではない事を悟る。そんな三四郎に修道館と対立する他流派の猛者達から、次々と挑戦状が舞い込む……。
記念すべき黒澤監督のデビュー作。全部で七箇所ある格闘シーンは、それぞれ趣向が凝っていて見応え充分。特にラストの右京ヶ原での対決は、コマ落としやモンタージュを駆使し世間を驚かせた。また当時の国策的作品に反逆し自らの信念に忠実に作られた本作品は、その後何度か映画化されるなど、後世に影響を与えた。
1943年/日本/79分
監督:黒澤明
キャスト:大河内傳次郎、藤田進、河野秋武、高堂国典、志村喬、轟夕起子、月形竜之介