江戸の場末の棟割り長屋には、自堕落だがバイタリティー溢れる人々が住んでいた。その中の一人、泥棒の捨吉は大家の女房と密通を重ねていたが、本当は妹のかよに惚れていた。ある日、長屋に巡礼の老人が現れ、人々に悟りきった事を説いてまわる。賛同する者も出て、長屋の雰囲気は変わり始めるが……。
ゴーリキイの同名戯曲を江戸の長屋の話に置き換えた骨太の人間ドラマ。入念なリハーサルを行い、複数のカメラで一気に撮りあげるマルチ・カメラ方式による演出が頂点を極めた作品として絶賛された。それを可能にしたのは、芸達者な俳優をズラリと揃えたキャスティング。特に山田五十鈴の入魂の演技は最大の見所。
1957年/日本/125分
監督:黒澤明
キャスト:三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、上田吉二郎、中村鴈治郎、千秋実