科学の世界へようこそ!」。それはヤトリがまだ9歳の頃。遊学先としてバダ・サンクレイ大将のもとに預けられた彼女は、同い年の少年、イクタと出会う。彼とともに触れ合う世界は、これまでとは違った感慨をもってヤトリに新鮮な驚きを与えていった。科学という言葉。出会ったことのない味。遊ぶという行為。そして、母親という温かい存在。彼女の笑みから硬さがなくなった頃、ヤトリは「軍人ではなく、一緒に科学者にならないか?」とイクタに誘われる。だがヤトリは瞳を伏せた。イグセムとして生まれた自分がどうあるべきなのか、彼女は誰よりも理解していたのだ……。