谷垣の一行と合流後、杉元たちは近くにあるアイヌコタン(村)に立ち寄る。谷垣からフチのことを聞かされ、その身を案じるアシリパ。彼女を気遣い、杉元は一度故郷に帰ってはどうかと提案する。だが、強い覚悟でこの旅に臨んでいるアシリパにとって、もはや引き返すという選択肢はなかった。自分の未来のために前に進もうとする彼女の決意を受け止めた杉元たちは、のっぺら坊のいる網走監獄に向けて再び出発するッ!
一方その頃、小樽を訪れた鯉登少尉は、信奉する鶴見中尉から旭川の本部で起こった出来事の報告を求められていた。白石に逃げられた失態の埋め合わせとして、彼の刺青人皮は写してあり、鈴川の刺青人皮も入手したことをアピールする鯉登少尉。そんな中、尾形が杉元らと行動していると知った鶴見中尉は、尾形と彼の父親である元第七師団長・花沢中将との関係に思いを巡らせる。
花沢中将は二〇三高地での被害の責任を取って自刃したとされたが、真相は違っていた。妾の子ゆえに父の愛を受けずに育った尾形が、自殺に見せかけて殺害したのだ。裏で糸を引いていたのは他でもない鶴見中尉であり、そこには第七師団の結束を強める狙いがあった。