「世界残酷物語」シリーズ(62―63)で一世を風靡したモンド映画の始祖G・ヤコペッティが約3年の歳月を費やし完成させた超大作。本作は60年代に独立運動が激化したアフリカ諸国の実態と混迷の様を克明にとらえたヤコペッティ最大の自信作になるはずであった。が、前2作と比べて重く悲惨な映像が多いうえに、いくつかのシーンでまたしても“やらせ”疑惑が勃発。マスコミに叩かれた挙句、映画は興行的大惨敗を喫してしまった。さらに終盤のコンゴ動乱シーンでは、反乱軍の拠点となる村の掃討作戦にカメラが同行。傭兵たちによる略奪・虐殺の一部始終を撮影したばかりか、本物の処刑シーンすらもフィルムに収めた。このことは大問題となり、ヤコペッティは殺人教唆の罪で告訴された。イタリア司法省の調査により最終的には無罪となったが、真相は今も不明である。これ以降、ヤコペッティはドキュメンタリー映画を撮ることを完全にやめてしまった。