新宿で易者をしている井刈長山は、これまで卦が当たったことがない、売れない易者だった。 そんな彼の元に、詩集を首から下げた怪しげな男・加藤ヒデオが現れる。 実は、彼は秋田の材木屋の倅だったが、作詞家に憧れ家出したものの工事現場で事故にあい、記憶喪失になった放浪の詩人だった。 そんな彼が持っていた「ノータリンダメスの大予言」という詩集を読んだところ、長山は驚いた。 焼き鳥屋を営む・高木風太夫妻の2階を間借りしていることや、向かいに仲の悪い仲本不動産の主人・仲本工作と、 その社員で、タコと呼ばれる志村けん八がいることなど長山の暮らしぶりが書かれており、しかも見事に全部当たっていたからだ。 長山は、彼が本物の予言者だと信じ込み、自分の所に連れていく。焼き鳥屋の主人・高木らは最初は信じなかったが、 高木らの目の前でヒデオの予言が偶然にも当たったため、一転、彼を「知らない様」と命名し、崇めはじめる。 彼を使って一儲けを企む長山だったが、そんなに偶然が続く訳もなく、徐々に、ヒデオのボロが出始め、最後は競馬の予想が外れたことに腹を立てた暴力団からひどい目にあってしまう。一方、ヒデオの秋田の実家では、父・金之助が蒸発したヒデオを心配するあまり病気で寝込み、 さらに怪しげな宗教団体「お恵み教」にすがるようになっていた。しかし、この宗教団体の責任者・川上銀次は、 弱みに付け込み加藤家が所有している広大な山林を乗っ取ろうと企んでいたのだった。 企みを知ったヒデオの姉・しのは、一刻も早くヒデオに財産を譲渡しようと、恋人の清に相談し、ヒデオを探しに上京するのだった。。。