大角卯三郎 大正八年生まれの95歳。下町の銭湯「大正湯」で働いている現役である。卯三郎はこの町の名物爺さんで、ご近所の住人がこの男の世相切りを聞くために閉店間際に集まってくる。「大正湯」は毎日拍手喝采爆笑の渦に巻き込まれていた。ある日、東京大学の女子学生が訪ねてきた。95年の人生を取材にきたのである。卯三郎は波乱に満ちた生涯を堰を切ったように語り始めた。大正、昭和、平成……話は硬軟自在あちこちに飛ぶが、次第にその歩んできた過去が明らかになっていく……。そして卯三郎は自問自答する“本当の正義とは何なのか”と。スーパー老人、大角卯三郎の生きた激動の時代を、笑いと涙と正義で描く!