『手鞠唄にいざなわれ、迷い込みたる迷宮のぞっとするほど、恋しい声―――。』
明は、亡くなった母親が唄っていた“手鞠唄”をどうしてももう一度聞きたいと、手がかりを求め、幼馴染の娘・菖蒲を捜し、諸国を旅していた。
しかし、菖蒲は神隠しに遭ったと聞かされる。
だが、幽霊屋敷と噂される秋谷邸に、この世の者ともつかない菖蒲がいると確信した明は、そこに逗留することを決意した。
夜な夜な捲起る怪奇現象に、日に日にやつれていく明。
明を心配した村人から、お祓いをしてやってほしいと、小次郎法師は頼まれるのだが…。