『秀麗な音色。妖艶な日常。二人は盲目。』
「鵙屋春琴伝」という小冊子を手に入れた私は、春琴と佐助の墓を訪れる。
天性の才能を持った美しい盲目の令嬢・春琴。
我儘な春琴の身の回りの世話をすることとなった丁稚の佐助は、いつしか春琴が奏でる三味線の音色に魅かれ、春琴の弟子となった。
だが、春琴の稽古は予想以上に厳しく、二人の師弟関係は、糸のように張りつめ…
そんなある日、利太郎という弟子が引き起こした事件が、春琴を不幸のどん底へと陥れる。佐助が下した決断と二人が紡ぐ壮絶な幸福とは…。