天明6年、江戸市民は老中・田沼意次の悪政下に苦悩していた。その時、あたかも未曽有の凶作で物価は高騰し、庶民の中では餓死する者も続出し、まさに地獄の様子そのものだった。それにも関わらず、田沼をはじめとする要人たちは利権あさりの廻船問屋、室津屋伝兵衛、堺屋藤左衛門と結託し好き放題していた。この事態を救おうと立ち上がった正義の武士“影法師”は毎晩、田沼一味を襲い汚れた金を貧苦にあえいでいる町民たちに分け与えていた。田沼は影法師の出現に恐怖を抱き、町奉行の牧野丹後守に逮捕を命じる。しかし神出鬼没の影法師には手も足もでない出ない有様だったのだが…。