指紋照合・血痕分析・映像解析…捜査の最前線に立たず、現場にある全ての“物”を相手に事件解決に繋がる事実を探っていく、警察組織の中でも技術に特化した集団<鑑識>。米沢守は、その一人。ある日、米沢は鑑識に向かった女性の変死事件現場で衝撃を受ける。遺体は、忽然と姿を消した米沢の妻だったのだ。そして、現場で錯乱する女性の夫と名乗る刑事と出会う。状況は自殺だが、米沢と刑事はその早すぎる結論に疑問を抱く。刑事の悲痛な叫びが米沢の秘めた傷をえぐり、やがて二人は決意する。<真相をつきとめる>と――。死因の青酸カリの入手経路、遺書の謎、女性の勤務先の警察の外郭団体・青少年防犯協会を探るうちに、上層部から圧力がかかる。「何か隠そうとしている」…確信を深める二人。妻の死が、触れてはいけない警察機構の闇に握り潰されている。見過ごすことは、できない。二人は、刑事として鑑識課員として組織の人間として、踏み越えてはいけない一線を越えてしまう!