柔道六段の荒井熊介は大陸から引き揚げてきた医者で、銀座裏で「アライ診療所」を開設し、気軽な独身生活を楽しんでいる。彼を毎朝起こすのは「鳥銀」の娘・絹江で、彼女は熊介を起こすのを楽しみにしていた。趣味の高尚な彼女には目もくれず、熊介にはカナリヤさんこと立花マリエという忘れられない人がいた。今度逢う時は結婚しようと別れて五年、いまだに生死さえも分からなかった。「アライ診療所」には妻を亡くした友人で先輩の松原大三もあり、二人は貧しい人に親切をつくしていた。そんなある夜、けが人がいるという知らせを受けて、二人がバー・カナリヤに向かうと、そこで立花マリエと出会う・・・。