妻を不慮の事故で失った主人公。救いを求めた先は、ふと迷いこんだSMクラブだった。首を締めつけられ、窒息寸前の生死をさまよう中でだけ、妻と再会できるのだ。本作は、2019年カンヌ国際映画祭監督週間で上映。その斬新なストーリー、卓越した演出力で、多くの観客に衝撃と感動を与えた。監督は、前作『2人だけの世界』が、ベネチア国際映画祭、トロント国際映画祭ほか、世界40カ国の映画祭で上映、さらに、フィンランド・アカデミー賞(ユッシ賞)で7部門にノミネートされ、作品賞と監督賞を含む4部門で受賞を果たしたユッカペッカ・ヴァルケアパー。本作では、研ぎ澄まされた光や色調の息をのむ映像と、生と死の世界を時間や音で表現する繊細な演出で、美しい愛と再生の物語を見事に描き出す。主演の外科医ユハには、フィンランドを代表する俳優、ペッカ・ストラング。感受性豊かで繊細な演技で、妻を亡くした主人公の深い悲しみを巧みに表現する一方、限界まで過激に魅せるSMシーンでは、大胆且つ超濃密な世界を作り上げ、観る者を圧倒する。SMクラブで働くモナには、数々の映画や舞台で活躍し、確かな演技力を誇るクリスタ・コソネン。数々の映画祭出品・受賞を経て本作は、2020年フィンランド・アカデミー賞主演男優賞、撮影賞、編集賞、音楽賞、音響デザイン賞、メイクアップデザイン賞の6部門受賞という栄冠に輝いた。