イタリア人映像作家エリオ・ジェルミーニが、生と死をテーマに作品を作り続けたケネス・アンガーの遍歴と映画術を捉えたドキュメンタリー。ジェルミーニ監督自身がアンガーへ行なった出生から現在までを語るインタビューを軸に、アンガーの盟友ジョナス・メカスへのインタビューや豊富なアーカイブ・フッテージにより構成されている。少年時代に『真夏の夜の夢』に出演したことをきっかけに映画の道を志し、インディペンデント映画を学ぶためにヨーロッパに赴きジャン・コクトーやマヤ・デレン、ヴィスコンティ、パゾリーニらと交流を持ったという逸話をはじめ、『マジック・ランタン・サイクル』収録作品の舞台裏が饒舌な語り口で綴られる。映画の最後でアンガーはこう語る。「私は映像詩人だ。コクトーが生み出した流れを喜んで継承する。生は死と同じくらい神秘的だ。どちらも誰にも解けない謎だろう。恐ろしくて不可解な謎というより興味をかき立てられる謎だ。自分の次の大いなる冒険が死でも構わない。それは新たな挑戦だ」