狐の妖怪である十三は、狐界きっての落ちこぼれ。憧れの狐仙になるには、人間を殺して丹を得なければならない。丹の最高峰である白丹を持つ人間がいると知り、十三は人間界へと舞い降りる。白丹を得たものは、伝説の九尾の狐仙となれるのだ。ついに見つけたその人間は、仕官の試験を受けるために都を目指す貧しい書生、子進だった。子進と共に都まで旅をすることになった十三は、まずは信頼を得るために子進の手助けをしていく。しかし、行く手を阻む物の怪たちとの対決を乗り越えていく中で、純粋な心を持ち、自分を友として扱う子進の命を奪うことに、十三の覚悟が揺らぎ始める。さらに、ふたりをつけ狙う何者かの影が迫っていた―。