平成最後の年。外来種である亀の大量繁殖問題に悩まされている架空の街、関谷市。そんな関谷市の市長、清水昭雄は太平洋戦争の平和記念館設立を目指していた。そこに一通の怪文書が届く。『平和記念館設立を中止せよ。私は清水正一を許さない』。送りつけてきたのは、街で石材店を営む BC 級戦犯遺族の南野和子。そこから始まる、市長 VS 南野家の攻防劇。思想とは無縁の長女・えり子、国際ボランティア活動を行う孫の紗江。もう一人の孫で石材店を共に営む光。そして、紗江の娘の幼子マリ。思想もバラバラの南野家がそれぞれの思惑で昭雄にぶつかっていく。被害者と加害者の境を見失い、物語は奇想天外なラストへと駆け抜けていく―