MI6の諜報部員007ことジェームズ・ボンドと、フランスで暗躍するソ連KGBの司令塔との対決を描いたアクション・ロマネスク。時は1968年、世界はアメリカとソ連を中心とする冷戦の最中にあった。パリでは学生や労働者たちを中心に「5月革命」と呼ばれる反体制デモが起き、鎮圧後過激派たちは「赤軍同盟」を名乗る地下組織に吸収されて行った。イギリスが誇る秘密情報部「MI6」では、コードネーム「007」を持つ秘密情報部員ジェームズ・ボンド(真風涼帆)に、ル・シッフル(芹香斗亜)と呼ばれるソ連のスパイを倒すよう指令が下される。ル・シッフルは5月革命の際、ソ連の組織から赤軍同盟に送る資金を使い込んで窮地に追い込まれたため、カジノで一攫千金を狙っていた。ボンドのミッションは、ギャンブルの腕を生かして彼に勝って資金源を断つことと、彼を生け捕りにして情報を吐かせること。ボンドはジャマイカの大金持ちになりすまし、フランス大西洋岸ロワイヤル・レゾーにあるホテル内の「カジノ・ロワイヤル」に乗り込む。折しも、ホテルではロマノフ家の遺族たちが集まり、次代の家長後継者を巡って争っていた。末裔の1人、ソルボンヌ大学の院生であるデルフィーヌ(潤花)は、赤軍同盟に逃れた過激派学生ミシェル(桜木みなと)の恋人であった。ギャンブルでボンドに負けたル・シッフルは、デルフィーヌが相続した財産を狙い、ボンドはデルフィーヌと関わりを持ち始める。華麗なるカジノを舞台に、密かにめぐらされる陰謀と策略。CIAやフランスの情報局員、ソ連側の工作員も加わり、ボンドの行く手には次々と危機が襲いかかる…。 原作/イアン・フレミング「007/カジノ・ロワイヤル」(白石朗訳、創元推理文庫刊)/脚本・演出:小池修一郎
2023年/宙組/東京宝塚劇場/キャスト:真風涼帆、潤花、芹香斗亜