王府の銀庫が空になっていることを知った安王は激怒。貸付金の回収係として白羽の矢が立ったのは賀連信だった。借金の取り立てに失敗すれば安王に失望され、成功しても官吏に恨まれる損な役回りのため、賀連信は駱青蓮の禁足を解いて彼女の意見を聞く。そんな中、慕海瑶は転倒して流産してしまうが、駱青蓮の髪飾りが近くに落ちていたことから彼女の犯行だと決めつける。心配した方懐蕊らが訪ねて来ると、慕海瑶は大きなおなかで現れて…。

流産を隠し通す慕海瑶は、腹痛がすると言って派手に騒ぐ。さらに慕海瑶は侍女たちを使って大掛かりな芝居を打つが、それは方懐蕊を見舞いに来させるための計画だった。その動きに駱青蓮は慕海瑶が何かを企んでいると感じたが、沈黙を守っていた。方懐蕊は訪れていた賀連信の目の前で、慕海瑶が飲もうとした薬を堕胎薬だと決めつけるが…。賀連信は息子を亡くした方懐蕊に優しい言葉をかけ、屋敷内のことは慕海瑶に任せるようにと口にする。

ときに無謀なやり方も駆使しながら、貸付金回収のための調査を進めていく賀連信（がれんしん）。安（あん）王の侍従・于徳常（うとくじょう）は賀連信の行動を安王に報告するが、安王は賀連信を評価しつつも上手くいきすぎることを危ぶむ。賀連信は李浅陌（りせんばく）の父・李（り）殿を訪ね、彼が借金に困っていることを心配する。賀連信と行動をともにする駱青蓮（らくせいれん）は、遊び人のように振る舞う彼の中に民を思う情熱が潜んでいることを知る。そんな賀連信は、自分の方が呂北逸（りょほくいつ）よりいい男だと主張し…。

駱青蓮は許寄柔（きょきじゅう）の手が冷たいことから彼女が氷室に行ったと考え、慕海瑶（ぼかいよう）の恐ろしい計画を知る。一方、李殿が借金を苦に自殺したことを知った李浅陌は、そのショックで産み月より1カ月早く陣痛が始まってしまう。心配して訪れた方懐蕊（ほうかいずい）が部屋に入ろうとすると、許寄柔がそれを阻む。その頃、賀連信は公金を輸送している途中、李殿の死に憤る貧民たちに襲われる。民を傷つけるつもりはない賀連信だったが、何者かの陰謀で戦う羽目となり…。

呂北逸や慕天殊（ぼてんしゅ）らの加勢で暴動を抑えた賀連信だったが、相手は民ではなく暴徒だったと呂北逸が明言。その場に駱青蓮も駆けつけ、賀連信に貸付金回収を任せた安王の思いを打ち明ける。そこには屋敷の中に蠢（うごめ）く後継者争いへの思惑があった。賀連信はいつの日か曲涼（きょくりょう）の民が苦しまぬようにしてみせると涙ながらに語り、駱青蓮は強い言葉で彼を激励する。そのとき呂北逸が自分たちの様子を見ていることに気づいた駱青蓮は、彼と話す機会を得て…。

貸付金回収が順調な賀連信をねぎらうため、王府では祝宴が開かれる。安王は内助の功の褒美として、方懐蕊、慕海瑶、駱青蓮に団扇（うちわ）を用意する。そのとき賀連佐（がれんさ）が現れ、賀連信の取り立ての非情さを告発し、その証人を呼びよせる。だが、慕天殊が手配書を安王に提出し、証人の正体が明らかとなる。一件落着のあと、3人の妻妾は3種の団扇を選ぶことに。自分の地位に不満な慕海瑶は正室が受け取るべき団扇を選び、安王の本心を探ろうとするが…。

賀連信は賀連修（がれんしゅう）に冗談を言いながらいつの間にか主導権を握り、賀連修が手にする貸付金の元手を奪うことに成功。この策を考えたのは呂北逸だったが、賀連信はまだ呂北逸には手厳しい態度を崩さない。そんな中、別院に移される慕海瑶を見送るために一同が集まっていた。慕海瑶が我が子のことが心配だと賀連信に伝えると、賀連信は李浅陌に育ててもらうと言い、赤ん坊を李浅陌の手に託す。さらに呂北逸が幕僚（ばくりょう）になったことを皆の前で伝える。

賀連信の寵愛（ちょうあい）を拒絶できなかった駱青蓮は賀連信に殺意を抱く。一方、方懐蕊は駱青蓮が賀連信の寵愛を受けたことで彼女が慕海瑶のような立場になることを恐れていた。駱青蓮は賀連信から褒美として賜った羽織の由来を賀連倚（がれんい）から聞かされ、気持ちに変化が生じるが…。やがて駱青蓮は賀連信に誘われ酒を飲んで泥酔。翌朝目覚めると「お前を自由にしてやる」という賀連信からの置き手紙に気づく。折りしも新たな妾（めかけ）・南如珍（なんじょちん）が屋敷に現れる。

賀連信の庭園・且歌苑（しょかえん）での火事について知らせるべく賀連信の屋敷を訪ねた駱青蓮。だが、先客がいると言われ門前で断られる。そのとき賀連信は南如珍と酒を飲んで過ごしていた。翌朝、門の前で駱青蓮の手巾を発見した賀連信は彼女が来ていたことを喜び、急いで駱青蓮のもとを訪問。駱青蓮は体調がすぐれないとして賀連信の来訪を拒否するが、突然倒れてしまう。急遽呼ばれた呂北逸は駱青蓮を診察し、彼女が妊娠していることを賀連信に伝える。

生まれてくる子供を争いから遠ざけるべく屋敷を出たいと思っていた駱青蓮だったが、賀連信の真摯な告白に心を動かされ、屋敷に残ることに。毎日のように贈り物が届き、賀連信の寵愛をほしいままにする駱青蓮。そんな彼女を李浅陌は嫉妬の目で見つめ、方懐蕊も警戒する。駱青蓮は慕海瑶が去ったあと、慕海瑶と親しかった許寄柔を味方にしたいと考えていた。折りしも許寄柔が駱青蓮のもとに妊婦服を持って現れ、駱青蓮は喜んで身にまとうが…。

猛犬が駱青蓮を襲った事件がもとで沈静容（しんせいよう）と仲直りした駱青蓮。そこに許寄柔が現れ、事件に加担したことを詫びる。許寄柔は慕海瑶の企（たくら）みで毒を盛られていた。一方、駱青蓮がおなかの子への思いを話すのを聞いていた賀連信は自分の考えとは違うことに失望し、駱青蓮の住まいである漣微居（れんびきょ）をもう訪れないと宣言。その頃、南如珍は方懐蕊に近づき、新たに結託しようとしていた。そんな中、賀連信は駱青蓮が欲しがっていた指輪を手に入れる。

妹の駱水蘭（らくすいらん）を捜している最中に腹痛に襲われた駱青蓮を気遣う呂北逸。だが、その場を目撃した賀連信は2人の仲を疑い、駱青蓮にひどい言葉を投げつける。駱青蓮は賀連信を追うものの、南如珍が仕掛けた罠（わな）で転倒して、命の危機に。駱青蓮の侍従は賀連信の屋敷に急ぐが、賀連信は南如珍と酒を飲んでおり、侍従を追い返してしまう。翌朝、駱青蓮は死産した子を抱いて賀連信の屋敷の門前に跪（ひざまず）く。賀連信は駱青蓮に自分の過ちを謝罪するが…。

安王は駱青蓮が流産したことを重く捉え、厳しく調査する。南如珍の侍女・剪雨（せんう）が疑われるが、彼女は世子（せいし）から命令されたように仄（ほの）めかすと毒を飲んで自死する。世子はまさかの展開に驚き、無実であることを主張するが、幽閉されることに。伯父の袁百里（えんひゃくり）は自分が企てたとして世子を庇うが…。一方、自分を庶民に落としてほしいと賀連信に頼んだ駱青蓮は、侍女たちと別院へ向かう。それは屋根が傾いたぼろ家だったが、駱青蓮は動じない。

駱青蓮は、慕海瑶が買収した管理人の毛大（もうだい）と毛二（もうじ）から嫌がらせを受けながらも、凍てつく寒さの別院で暮らし始める。賀連信は駱青蓮を心配して門の前まで来るものの、会う勇気がない。駱青蓮はなんとしても生き抜く覚悟を決め、毛大と毛二を逆に買収。慕海瑶や南如珍を許さないと誓う。そして別院での暮らしを楽しいものへと変えていく。2年が過ぎ、その間に賀連修の策で陥れられた世子は冷遇されていた。そんな中、狩りが行われることに…。

雷鳴轟く雨の夜、凶刃が父の体を刺し貫いた――。10年前、まだ幼い頃に目撃したその光景を、阿麦（アマイ）は忘れることができなかった。やがて美しい娘に成長した彼女は、男のふりをしながら、盛国公であった父を殺した義兄の陳起（チェン・チー）を捜すために盛都に留まるうち、ひょんなことから定南侯・商維（シャン・ウェイ）と長公主・盛華（ションホワ）の子・易之（イージー）と出会うのだった。その矢先、易之は妓楼にて刺客に襲われる。時を同じくして、辺境から凱旋したばかりの商維の身にも異変が…。

“両親”からの突然の告白に、驚愕する商易之（シャン・イージー）。自分は養子で、本当の名は斉渙（チー・ホワン）、実父は亡き前皇太子の斉顕（チー・シエン）だというのだ。今までそれを黙っていたのは、易之の命を狙う皇帝・斉景（チー・ジン）から守るためだと聞かされ、驚きはさらに増すのだった。死を目前にした養父・商維（シャン・ウェイ）から、急いで盛都を離れるよう命じられる易之。思いがけぬ出来事の連続に落ち込む彼を、阿麦（アマイ）は「天のご加護がある」と元気づけ…。

捕吏に捕まった知人をこっそり助けようとした阿麦（アマイ）だったが、運悪く見つかって自身も縛りあげられてしまう。そこへ思わぬ助けが。偶然にも青州へ向かう商易之（シャン・イージー）の一行がやってきたのだ。阿麦に気づいた易之は捕頭の張（ジャン）に、“そやつは定南侯府の者だ”と話し、放すよう命じる。しかし、護衛の衣をまとう易之に疑念が拭えない張は、定南侯本人である証しを要求。危険を避けるために身分を伏せていたが、やむを得ない。易之は穆白（ムー・バイ）に令牌を見せるよう促し…。

奪い取った通行手形で銀堡城に入った阿麦（アマイ）。早速、“鬼手の阿四（アースー）”を捜していると、居場所を知っていると思しき2人の男から声をかけられた。彼らに連れられていった先で春娘（チュンニン）からもらった指輪を見せ、阿四との対面を許された阿麦は、すぐさま盛国公の養子である陳起（チェン・チー）の行方を尋ねるのだった。一方その頃、阿麦に一杯食わされながらも、何とか入城を果たした北漠軍の将軍・常鈺青（チャン・ユーチン）は、ある男の家へ向かうが…。

北漠軍の襲撃を受けた銀堡城は陥落寸前まで追い詰められていた。少しでも戦力を増やしたいと考えた校尉の唐紹義（タン・シャオイー）は、敵を倒せば赦免すると囚人たちに伝えるよう配下に命じる。最初こそためらった囚人たちも、「祖国のために義を貫く」と、いの一番に名乗りを上げた阿麦（アマイ）に触発されて次々と武器を手に取り参戦するが、戦況は悪くなる一方だった。銀堡の兵士たちの死体が無数に転がるなか、攻撃を躱しながら走っていた阿麦は何者かに足を掴まれ…。

鞭箭の図面を持つ李二牛（リー・アルニウ）を北漠に引き渡すわけにはいかない。そうかと言って亡骸を差し出せば、激怒した常鈺青（チャン・ユーチン）によって銀堡の民はもっと痛めつけられるだろう。そこで阿麦（アマイ）は、自分たちが銀堡を出ることをわざと鈺青に気づかせて、後を追わせようと提案するのだった。その夜、作戦遂行のために集まった阿麦たちだったが、阿四（アースー）は家に大事な物を忘れてきたと言いだす。やむを得ず取りに行くのを許可したが、待てど暮らせど彼は戻らず…。

北漠軍が銀堡城を陥落させたとの知らせは、南夏の皇帝・斉景（チー・ジン）の耳にも入った。皇太子の斉涇（チー・ジン）は、わずか数刻で勝敗が決したことから察するに、訓練された兵による襲撃であり、北漠には南征の野心があるのではと忠告する。しかし斉景は聞く耳を持たず、北漠に使節団を送って何が欲しいのかを聞くようにと命じた。すぐに譲歩し、物資のみならず土地まで北漠に与えてしまう父親のやり方に、このままでは国が財力を失って民の苦しみが増すと斉涇は危惧し…。

杯を叩き割るのを合図にして商易之（シャン・イージー）に斬りかかるはずが、趙智（ジャオ・ジー）と孫濤（スン・タオ）が土壇場で怖気づいたせいで、果たせずに終わった。銭于（チエン・ユー）がそれを責めると、命令を下した陛下も気まぐれだと反論し、状況次第では易之を監視するに留め、策を練ってから再び動こうと、逆に彼を宥めるのだった。一方、物陰に潜む兵の存在に気づいた阿麦（アマイ）のおかげで、何とか命拾いした易之一行は、殺される前に急いで青州を出ようとするが…。

岩に“商易之（シャン・イージー）”の顔を描け――。何も知らぬ採石場の罪人たちから催促された商易之。そこには別の似顔絵と「犬野郎の商維（シャン・ウェイ）」の文字が。これまではうまく素性を隠し、自分が商易之だと知られずにきたが、父親をコケにされることに耐えられなくなった彼は、暴言を吐いてその場から走り去るのだった。腹を立てた罪人たちに追いかけられたうえに正体がバレた易之は、幸い殺されはしなかったものの捕縛されてしまう。そこへ阿麦（アマイ）が現れ…。

不足している軍糧を都合してもらおうと、かつて父の配下だった石達春（シー・ダーチュン）が城守を務める豫州へと赴いた商易之（シャン・イージー）たち。ところが予想に反して、達春からは“お上の承認を得ていなければ渡せない”と言われてしまう。彼には、阿麦（アマイ）が北漠へ入るための通行手形の件も相談するつもりだった。もともとそれが目的で豫州へ同行してもらった手前、達春の援助が望めないと知れば阿麦が去ってしまうと思った易之は、まだこの事実を黙っておこうとするが…。

商易之（シャン・イージー）を助けるため、近々開かれる予定だった演武大会を利用して豫州軍と青州軍の対決を行おうと考えた阿麦（アマイ）。勝てば軍糧の入手に加えて、易之の処刑を企む皇太子・斉涇（チー・ジン）と交渉ができる。だが、敗北は“死”を意味する。無謀ともいえる危険な策に、穆白（ムー・バイ）は“若侯爵の命を賭けるのか”と声を荒げるのだった。一方その頃、阿麦の策に乗った石達春（シー・ダーチュン）も、斉涇の参謀である楊玄（ヤン・シュエン）を丸め込んで対決を承諾させ…。

阿麦（アマイ）と離れたくない商易之（シャン・イージー）は、なぜそこまで北漠行きに固執するのかと彼女を問い詰めた。やむなく、本名が韓麦穂（ハン・マイスイ）であることや、目の前で父親の盛国公が陳起（チェン・チー）に刺し殺された忌まわしい記憶を語る阿麦。ところが易之は作り話だと思い込み、鼻で笑う始末。心をえぐられた阿麦は、一筋の涙を流しながら「二度と会うまい」と言い放って立ち去るのだった。翌朝、旅立ちの身支度を終えた阿麦が部屋の扉を開けると、そこには…。

少年の格好をして皇都の御史である祖父・花屹正（かきつせい）の巡察に同行し広い世界を見た花（か）家の令嬢・かし。その後、美しく育った彼女は年頃となり沈（しん）家の若様・沈淇（しんき）との結納が決まる。だが、好奇心旺盛で自由奔放なかしは家族の目を盗みこっそり街へ。そこで面倒に巻き込まれた彼女を助けてくれたのは沈淇と凌王の世子・顧晏惜（こあんせき）だった…。

かしが大奥様から罰を受けていた頃、謀反の罪を着せられようとしていた顧晏惜（こあんせき）は伯父であり育ての親でもある大慶皇帝・顧成燾（こせいとう）に救われる。そこで改めて忠誠心を示した顧晏惜は皇帝直属の諜報機関・七宿司を率いる新たな仮面の司使となると、花（か）家の捜索に向かう。一方、一夜にして没落した花家は上を下への大騒ぎとなり…。

花屹正（かきつせい）らが逮捕されただけでなく残る男性たちも連行され、屋敷を追われた花（か）家の女性たちは小さな別荘・紫こう居へ。これまでの贅沢な生活から一転して藁の上に寝て食事にも事欠く貧しさを味わうことになる。また、久方ぶりに凌王府に戻った顧晏惜（こあんせき）は妹・芍薬（しゃくやく）、父親・顧成焄（こせいくん）と再会、10年前の悲劇的な事件を思い出していた…。

かしのことを諦めきれずに少しでも彼女を助けたいと考える沈淇（しんき）は、花屹正（かきつせい）の教え子だった陳智（ちんち）、余征遙（よせいよう）とともに紫こう居を訪ねる。また、顧晏惜（こあんせき）は腹黒く残酷な副司使・袁七（えんしち）を成敗すると鄭虎（ていこ）を後任に抜擢、たちまち陳情（ちんせい）、李猴（りこう）ら部下たちの心を掴む。一方、最初から陳智と余征遙に警戒心を抱いていたかしは陳智の実家が質屋だと知ると…。