少佐となった当時のラインハルトは、イゼルローン要塞の駐留艦隊において駆逐艦エルムラントIIの艦長を務めていた。その頃、軍務省憲兵隊からグレゴール・フォン・クルムバッハ少佐が、ラインハルトを内密に調査するという名目で要塞に赴任してきた。彼は厳格な上官のレンネンカンプ大佐に、宮廷内における後ろ盾の存在をほのめかし、この件に関しての協力を半ば強要する。尋問の際、クルムバッハから惑星カプチェランカでの一件を問い質されたラインハルトは、彼こそかつてベーネミュンデの手先として自分を狙ったヘルダーの後釜なのではないかという疑念を抱く。やがて始まった同盟軍の攻撃を迎え撃つべく出撃するエルムラントIIに同乗したクルムバッハは慣れない戦場に恐慌を来す。そこで自分を嘲る態度を取ったラインハルトに対し、彼は沸々と私怨を募らせるのだった。これまで4回もイゼルローン要塞の攻略を失敗していた同盟軍の猛攻は苛烈を極めた。肉薄する敵軍が味方艦と入り乱れ、要塞主砲を撃てないまま窮地に追い込まれていく帝国軍。その混乱に乗じて本来の任務であるラインハルト暗殺を実行しようとしたクルムバッハであったが……。
原作:田中芳樹・道原かつみ(徳間書店「少年キャプテンコミックススペシャル」)
監督:清水恵蔵 脚本:小出一巳 絵コンテ:滝沢敏文
演出:上田芳裕 作画監督:池田裕治