韓国ドラマ 『推奴−チュノ−』完全攻略ガイド〜名誉のための逃走、愛のための追跡

テギルは両班の息子で、何不自由育った世間知らずの御曹司。召使いのオンニョンが大好きで、二人は秘かに愛を育んでいました。オンニョンの兄クンノムは召使いの身分でしたが、実はテギルの父と奴婢の母との間に生まれました。やがてオンニョンとテギルの恋が発覚すると、奴婢の身で両班を誘惑したと厳しくせっかんされます。ついにクンノムは我慢できなくなり、父の家に火を放ち妹を連れ逃亡しました。そして8年が経過します。




クンノムの放火によって家族は皆、焼死。たった一人、生き残ったテギルは恋人のオンニョンに去られ、財産も家門も無くしました。しかしテギルは家の再興ではなく、オンニョンを探すことを決意。奴婢を追う推奴(チュノ)師になります。ヤワな御曹司は精悍で冷酷な男に成長しました。オンニョンの似顔絵を捕まえた奴婢たちに見せて行方を尋ねました。また夜になると、主人の下に戻された奴婢たちを救いだし、逃走の手助けをします。
クンノムに連れられオンニョンは両班の家を出ます。兄とともにチュノの身分を捨て、名前もキム・ヘウォンに変えます。兄は盗み出した金を元手に、商売で大成功し二人は富豪の兄妹として知られるようになります。身分も変わり贅沢な暮らしができるようになっても、ヘウォンは兄が許せませんでした。兄が放った火によって、恋人テギルも死んだものと思っていたからです。クンノムはヘウォンを名家に嫁がせようと考えていました。

朝鮮最高の武将と讃えられたテハは、忠節心が強く、丙子胡乱後に清国の人質となった昭顕世子とともに清国に赴きました。異国で苦労をともにし、8年後に世子とともに帰国。しかし世子がその1ヶ月後に謎の死を遂げます。それとともにテハは友人の裏切りにより奴婢に落とされてしまいました。かつての勇猛な武将は足を引きずりながら、毎日、屈辱的な労働を課せられていました。そんなある日、亡くなった世子から手紙が届きます。
ヘウォンは望まぬ結婚をさせられますが、婚家から逃亡します。婚家からの追手と、兄クンノムが放った護衛武士ペッコに追われることになります。テギルは王からの手紙を読んで、生き残った王孫ソッキョンを守る意志を固めます。逃亡する途中、男装したヘウォンの窮地を助けました。テギルはチュノとして、そのテハを追います。

17世紀中頃、中国では明に変わって清が勢いをつけていきます。ドラマで取り上げられた「丙子胡乱」は、1636年から翌年にかけて、清が朝鮮半島に攻め入ってきた史実です。戦いの後で結ばれた和議の内容には、朝鮮は清国に対し臣下の礼をとること、王子を人質として差し出すことなどがありました。戦いで疲弊し多額の賠償を支払いのたる朝鮮内の経済は混乱し、世相は荒れ果て奴隷の身に落ちる人も少なくなかったといわれています。
『ファンタスティック・カップル』『僕の妻はスーパーウーマン』とロマンチックコメディで大活躍してきたオ・ジホにとって、今作が初の時代劇でした。演出のクァク・ジョンファンとシナリオのチョン・ソンイルは、「僕にとって『ドラゴン桜』の特進クラスの先生のような存在」。時代劇に似合わないというオ・ジホを抜擢し、彼の俳優人生に大きな転機をもたらしてくれたと語っています。共演のチャン・ヒョクはよきライバルであり、同い年の友人。時間が合えば、アクションの練習も二人でしていました。


ソン・ドンイル、コン・ヒョンジンの40代俳優の演技が光ります。二人はキャリア20年以上の実力派。多くの映画やドラマでコミカルな演技を披露してきましたが、このドラマでは強靭な男に変身しました。ソン・ドンイルは『パリの恋人』や『魔女ユヒ』で「頼りないダメなおじさん」でしたが、『推奴−チュノ−』で精悍なチュノの親分を好演しています。コン・ヒョンジンは、時代劇版スナイパーに変身。皆に慕われるクールな役柄です。
ヘウォンを追う護衛武士ペッコを演じるデニー・アンは、元g.o.dのメンバーで「元祖演技ドル」と呼ばれています。今は盛んになった、演技するアイドルの先駆け的存在という意味。グループ解散後に、ソロ・アーティストとしてと同時に俳優としても活動を開始しました。ちなみに『推奴−チュノ−』でペッコが壮絶な死を遂げた後、同じ時間帯に他局で放映されていた『恋愛マニュアル〜まだ結婚したい女』に特別出演しています。
