『憎くても可愛くても』完全攻略ガイド〜母の再婚、僕の恋愛
品のいい物腰の中年男性に向かって、母さんは初恋の少女のよう。見てはいけないものを見てしまったような感じ。思い切って「母さん、あの男は誰?」と尋ねたけど、母さんは答えようとせず、金の件が片付いてないって僕を追い出したんだ。あの男は母さんの幼なじみで、近頃、再会したそう。母さんはバツイチで、相手の男は奥さんを亡くしているから独身どうし。名刺をもらって、びっくりしたよ。あのボンジュール食品の社長だって!!
僕の空腹を満たしてくれた試食売り場。そこにいた女の子にまた会ったんだ。その子、ダンプンていうんだけど、仕事を世話してくれないかと気楽に言ったら、断られてしまった。なんだか腹が立って車のタイヤを蹴ったら、ミラーが落ちてきて弁償させられたよ。思わぬ出費だァ。別の日には、ダンプンの車が故障して立ち往生してるところを偶然、通ったんだ。親切心で助けてあげたのに、あいつ、僕のことを泥棒扱いしたんだ。許せないよ。
ボンジュール食品の社長、マンスさんは、再婚を高齢のお母さんに反対されている。僕は母さんの再婚に反対しない。母さんは浮気者の父さんに、さんざん苦労させられた結果、離婚してるからね。母さんはマンスさんにその話をしたけど、結局、2人は結婚することになった。両家の挨拶の日、やはりマンスさんのお母さんは来なかった。これから大変そうだな。だけど、無職の僕は社長の息子になり、フランス帰りの美人の妹までできたよ。
ダリョンおじさん夫婦が離婚するとかでモメていて、息子のチャンの面倒はヒマな僕が見ることになった。マンスさんに呼ばれて会社に行った時も、チャンを連れていったんだ。会社のエレベーターの中でダンプンに、また会ってしまって気まずかったな。そしたら彼女、僕がバツイチの子連れと思ったらしい。さすが食料会社、自社製品を袋に詰めて渡してくれた。泥棒扱いされたり、酒を飲んでカラまれたけど、本当はいいヤツなのかもしれない。
『憎くても可愛くても』は韓国で07年9月から08年5月まで、全172話が放送されました。平均視聴率39.7%、最終回は50.5%まで跳ね上がった超人気ドラマ。この数字は08年に放映された全ドラマの中で、最高の視聴率です。月曜から金曜まで夜8時25分から毎日放送され、10代からは「中毒性のあるドラマ」、70代の老人には「1日でも見ないと、食事を抜いたように落ち着かない」と言われ、あらゆる年齢層の視聴者たちを惹きつけました。
ダメ男なのに、黙っていればイケメンのベコ。演じるキム・ジソクはイギリスからの帰国子女で、元アイドル。01年にグループ「リオ」のラッパーとして、デビューしました。しかし知名度が上がらず、大学でドイツ語と英語の教員免許を取得して将来に備えました。その後、俳優に転じて『ノンストップ5』から8作めのこのドラマで初めて主役を掴みました。ベコ役で圧倒的人気を得て、映画『国家代表』や時代劇『推奴(チュノ)』で活躍しています。
9ヶ月の撮影期間、出演者たちはほとんど毎日、スタジオに通っていました。健康管理のためにも、規則正しい生活を送ったそうです。まるでサラリーマンのようだと愚痴った俳優もいました。ダンプン役のハン・ジヘは「撮影が長くて、精神的にとても辛い時期もありました。演じながら、余計に涙が出てきました。演技でここまで喜怒哀楽全てを経験したことはなく、女優として女性として成長したと思います。」と感想を述べています。
このドラマの魅力のひとつは、非の打ち所のない優等生がいないこと。ベコは性格は良いけど無職、ダンプンは見た目で相手を判断し、スアは寂しさを隠して何ごとにも強気。中でもソンジェは、回りに流されやすい性格のエリート。このソンジェ役のチョ・ドンヒョクは「運ではなく、努力だけでここまでやってきた」と言う苦労人で、ソンジェとは正反対に長い下積みを経験しています。話すのが苦手で、モデルをしながら俳優の夢を諦めずにやってきました。